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魔女の宅急便 小さな魔女 イラスト

日記「優しさに包まれたなら」

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久しぶりにジブリ映画『魔女の宅急便』を見たのだが、良い映画ですね。
目に止まるシーンがいくつかあるけれど、なんか、じんわりと涙出てくるもんね。
あれ、なんなんだろうね、一般的には泣けるシーンではないようなところで、じんわりと目に涙が溢れ出したりと。
1989年に公開されたみたいなのだけれど、そんなに昔にも感じないが、ロードショーでやっていたものを録画し、何度も兄妹で見ていたことを思い出すと、随分と昔の作品だったのだなと感慨深く思う。
この映画は人々の優しさが垣間見えるシーンが多々あって、ジブリ映画は主人公以外のキャラクターの細かな表現が素敵というか、ついつい主人公に目が行きがちだが、改めて見てみるとそんなところまで描いたいたのかと驚かされる。
おソノの夫、フクオがキキのために看板を作り、帰りをまだかまだかと外を眺めながらうろうろし、帰ってきたら帰ってきたで、焦って裏に入ろうと思うも、キキに看板のことを尋ねられ、作ったことが悟られ、キキが感激のあまりフクオをハグするシーン。
彼らの声は聞こえないわけだが、やり取りが聞こえてくるようで、とても好きなシーンだ。
トンボを救出する時も出会った人たちみんながキキを応援している。
グッとくるよ。
スタッフロールに登場する小さな魔女も良いよねえ。

ニシンのパイ イラスト

「あたし、このパイ苦手なのよね…」で有名なニシンのパイだが、おそらく僕も苦手な感じがする。
映画内で描かれているパイはかなり美味しそうなのだけれど、ニシンの頭が空に向かっていくつも飛び出ているビジュアルをしたニシンのパイもあった。

とまあ、そういうわけで、いろいろと映画を物色しているわけですが、なかなか自分に合った作品にはなかなか出会うのは難しいものですね。
『インターステラー』には興奮した。
相対性理論についての表現が理解しやすく、日常の中で聞こえてくる音や、自然現象など、もしかしたら何者かのメッセージなのか、と思うとワクワクしてきた。
団地を舞台に人々の交流を描いた群像劇『アスファルト』も良かった。
序盤の小ボケの数々に「マルコヴィッチマルコヴィッチマルコヴィッチ…」と頭の中で鳴り響いたが、裏切られる形で作品に見入った。
良いシーンにほっこりとしていたら突然に小ボケを入れてクスッとさせる。
クスッとさせてくれる。
誇張のない演技も良かった。

これは最近見つけたものだが、もうすでに10回くらい繰り返し見た作品で『ヒトラーの忘れもの』という映画。

風景 イラスト

 

地雷 イラスト

第二次世界大戦後、デンマークの海岸に大量に埋められた地雷を敗戦したドイツの少年兵が撤去するお話。
登場してくる人物の人間模様がいろいろと考えさせてくれる。
簡単な地雷除去の訓練を受けて、送り出されたのはデンマークの海岸。
上陸を阻止するためにナチス・ドイツが海岸に大量の地雷を埋めた。(作内で登場する地雷にシルクでTIM-42型と書かれている)
捕虜されたドイツの少年兵は地雷を除去するために送り出された。
当然、彼らは歓迎されるわけではなく憎まれる存在であり、居住空間も劣悪で、食料の配給も後回しにされ、人道的に扱いをされなかった。

ヒトラーの忘れもの イラスト

その少年兵をまとめている軍曹だが、絵に描いたような「鬼軍曹」で、彼もドイツに対して大変な憎悪を抱いていた。
物語冒頭、投降するドイツ兵の中に国旗を手に握るものがいたが、怒りのままに殴打した。
少年兵と言えど、当然彼らに抱く感情は同様であったのがうかがえる。
合理的な思考をし、責任感の強い人物であったともうかがえる。
敵国だった兵士だったといえども、兵士たるものあってはならず、という教えを恫喝しながらも教授することもあったし、虐げられるような出来事があった時、彼らはこのプロジェクトを完了させるために必要な人材であると同軍の兵士に説き庇った。
軍人の”いろは”を知らない、地雷の素人、自分の子ども程の少年兵が送り込まれることは予想だにしなかったことなのであろう。
彼はこのプロジェクト完了に向けて淡々と日々を過ごしていくのだが、事故によって死んでしまう少年兵を見て、この事柄について、所謂「戦争とは」と考えるのだが、次第に苦悩を抱きだしていく。

食料も与えられていない中、何日も過ごしていた少年兵は監獄されている古屋から夜な夜な抜け出しては食料を調達していたが、食べたものが悪く大量を崩してしまうシーンがある。
それを見た軍曹は、野営地に赴き、こっそりと彼らのために食料を調達してきた。

パン イラスト

銀食器 イラスト

久しぶりの食料に彼らはがっつきながら頬張った。
彼らの中のリーダーの役割を務める少年兵が調理したじゃが芋のようなものを配膳するシーンがあるが、自分に入れたものはたった一つで、宗教的な教えに基づいて行動する信心深い人間であった。
彼は軍曹について、話ができる人物であり、信頼できる人物だと感じていたようだ。
この地雷撤去が完了すれば、必ず祖国へ返してくれるはずだ、と。
そのために仲間が生きて帰るために、自分が生きて帰るために、軍曹を裏切らないために日々を生きた。

ヒトラーの忘れもの イラスト

一日の作業を終え自由時間を過ごす少年兵。
木材を削って積み木を作ったり、談笑したり。
双子の兄弟が登場するが、彼らが一匹の昆虫を見つけ、名前をつけるシーンがあるが、とても美しい。
手元と転がる昆虫を描写し、夕暮れの眩しい光と小麦色の植物の神々しい映像の描写が一時の安息できる時間を表現していた。

ヒトラーの忘れもの イラスト

結局この双子も命を落としてしまう。
12人いた少年兵も最後にはたった4人だけになってしまった。
地雷撤去を終え、軍曹は約束した通り、彼らを家に返した。
しかし、上層から呼び出され、伝えられたことは彼らを新しい地雷埋没地に送り込まれ、撤去作業をさせられるということだった。
軍曹は約束が違うと怒った。
返してやってほしいと懇願した。
彼らが争いあった憎き敵国の兵隊であっても、何も知らない子どもであったことを、生きて返してこれからの希望になることを。
しかし上層は受け入れなかった。
軍曹は命令を背き、彼らを救い、祖国へ返した。

とまあ、ネタバレのようになってしまったが、良い映画で絵に描きたくなったのだ。
なんのことだか分からぬままに、大義を植えつけられ、なんのことだか分からぬままに生き死にをかけた殺し合いをさせられる。
蓋を開けてみれば、あらゆる工作によって煽動されたものであったり、無意味なことが分かったり。
普通に生きたかっただけの人間が戦地へ駆り出され、人質となったり、ひどい目にあう。
上層はなんだか知らんが勲章をもらい、べたべたと血濡れた勲章を恥じることなく掲げている。
負けてしまうと人間としては扱ってもらえない。
規定があっても、戦地ではルールは存在しないも同然である。
果たして、私たちは何に煽動され戦わないといけないことになるのか。
何によって急かされる感情を抱かされ、穏やかな時間を過ごすことが難しくなるのか。
私たちが見せられているものは一体なんなのか。
あらゆるものに前提があり、それらを通過することによって見せられているものを事実として見せらることを。

いやいや…良い映画でした。

今日の作業用BGM

カミナリグモ / 王様のミサイル

 

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