bow's Design(ボウズデザイン)

自転車 イラスト

date | 2020.6.30 日記「イエローホープ」

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時計塔の頂上の縁に留まり辺りを見ている烏の様子とその背景でいつもよりゆっくりと浮かぶ雲を見て、今日も平和だなと、いつもの傾斜の壁にもたれかかった。
静止した景色。
窓に写り込んだ空の雲が動いていて、時折、人が行き来する音が入ってくる。
何も多く望むものはなく、ゆったりと穏やかな、頭をからっぽな、静かな時間を過ごしたいだけだ。

突如怒号が聞こえてきて、スローに流れていた景色が一変し、倍速になってそちらの方へ視点をやった。
小学生になったばかりくらいの自転車にまたがる女の子と練習に付き合っているお母さんがいた。
上手く乗ることができず苛立ち、このどうしようもない感情を「泣く」ことで解消しようとするも、その様子を見たお母さんも苛立ってしまい、怒号をあげるという構図である。

こうやって傍目で見ていると、いずれの気持ちも痛いほど分かってくる。
僕はといったらもうこの光景に釘付けだ。
何度挑戦しても上手くいかず泣き、そして怒号が飛ぶ。
「いや、なかなか良い線行っている。」
「手に力が入り過ぎている。」
「お母さん、今のは褒めてあげて!」
その光景を眺めながら、心の中で二人にエールを送っていた。

「それそれ!できたやん!」
僅かであったが、バランスを取り乗ることができ、お母さんがはじめて女の子を褒めた。
女の子は満面の笑みを浮かべることはなかったが、涙であふれた顔を腕で拭い、何かを掴んだような表情を浮かべ、またハンドルを握って挑戦するのだった。
しかし、その時間で乗ることは叶わず、夕日に向かって自転車を押し、穏やかに帰って行った。

この微笑ましい光景は、家族でのビッグイベントだ。
はじめて自分の足で立つことができた瞬間のように。
この瞬間の予兆、というのは動きに表れてくる。
よし!よしっ!よしっ・・・!
まるでその瞬間へのカウントダウンのように。
体に力が入り、拳を握りしめ、その瞬間を見逃さないように瞬きせずに。
自分のことのように、体を天に向けて飛び跳ねるように嬉しいものだ。

ああ、今日も平和だな。
また縁に留まった烏を見ていつもの傾斜に腰掛けたところ、目の前を小さな自転車が軽快に駆け抜けていった。
あのときの女の子だった。
自転車と体が左右に大きく揺れていたが、それは気持ちの表れだ。
表情こそ見えなかったが、遠くなっていく後ろ姿が全てを表している。
おめでとう。

さて、イエローホープというのは、なにか。
10代の頃、よく遊んでいた「つれ」の中の一人が乗っている自転車が、イエローホープと呼ばれ弄られていたわけだが、響きが面白くて、分かったようなふりをして笑っていたのだが、あれかな、商品名だったのかな。

今日の作業用BGM

Def Tech / Golden Age

 
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インターネットの世界の中でも日本。そして神戸の辺りでゆるやかな丘の上にある自然に囲まれたギャラリー。
誰でも自由に入ることができ、これまでbowがデザイン、描いてきたイラストを使った作品や、
絵本などを展示しています。

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