「にゃぁ〜」
道の脇にある草むらから猫が遠巻きにこちらを見ている。
近くにあった体を擦り付け「にゃぁ〜にゃぁ〜」と鳴きながら、
木の周りを回っている。
「かまってほしいのか」と少し近づいてみると、その猫はこちらに目をやりながら、
距離をとる。
こちらが止まるとこちらを見ながら「にゃあ〜にゃあ〜」と鳴いてくる。
「かまってやるから、おいで。」と近寄ると、距離をとる。
面倒くせー、と「にゃあ〜、にゃあ〜」という鳴き声を背に、その場を去っていった。
「かまってほしいにゃあ〜。。。
でも、人間だものにゃ。
こないだはご飯をくれて優しい人間もいたが、今回は違う人だものにゃ。
しかも見てくれが悪い。
あれに近寄ると、ろくなことなさそうだしにゃ。。。
でも、人は見た目で判断するにゃ、と父さんと、母さんが言ってたよにゃ。
悪い奴もいるけど、いい奴もいるにゃ、と。」
猫の様子を思い返して、猫の心中を勝手に作って当てはめながら、
歩いていた。
すると、もうそんな季節なのだろうか。
人間の宿敵、カサカサと動く黒い生き物がいた。
俊敏な彼らだが、こちらの足音や振動は察知しているだろうに、
ぴくりとも動かない。
亡くなっている様子でもない。
そんな彼の横をスタスタと歩いていった。
「あー、さぶ。。。
間違えたー。
間違えた。。。
あったかくなってきたんちゃうん??
そないおもて出てきたのに、めっちゃ寒いやあん。。。!
タイミング間違えたわ〜。。。」
きっと彼らは二つの顔を持つ。
俊敏に仕事を遂行するときは、頭も冴えていて、性格も動きもスマートだ。
どんくさいときは、うってかわって全てがもっちゃりしてしまう。
カナブンはきっとおっちょこちょいな性格だろう。
「うわー。。。!失敗したっすー。。。!!
危ないー。。。!!
のいてのいてのいてっすー。。。!!
ぶつかるーーーー!!!!」
「ひっくり返ってしまったっす。。。
誰か起こして欲しいっす。。。
こんなとこ、誰も通らないよな〜。。。
あー、意識が遠のいていく。。。
ああ、、、つまらない人生だったなあ。。。
。。。
…」
「あーだるー。
なんで俺は生きてんだろー。
なんにもやるき起こらんなー。
だるいなー。」
とカメムシが呟いている。
カマキリは何かのゲームのボスに例えると、ステージ1のボス。
カマキリはいわゆる悪の雰囲気を持っていて、語り口調が
いわゆる悪の「ガハハハハハ!この釜で切り刻んでやるわー!」というセリフが聞こえてくる。
感情がうかがえるのだ。
それよりバッタの方がサイコな感じがして、ボスランクとしては高いのではないだろうか。
中ボスあたり??
感情がうかがえない。
感情を持たない殺戮マシーン的な感じがする。
「よいしょ、よいしょ。」
「うんせ、うんせ。」
「みんなで頑張ろう。」
足元を見れば蟻の行列が。
彼らは非常に真面目で働き者で、仲間思い。
そして何事にもポジティブである。
人に踏まれてしまうことも、我が人生においての運命を受け入れている。
コミュニティを存続し続けるために、皆で協力し、日々を生きている。
人間も見習わなくては。
と、猫のつぶやきから、後半はほぼ昆虫となってしまったが、彼らのつぶやきが吹き出しのようにあらわれて楽しくなってしまった。
とまあ、彼らのつぶやきを聞いていたら、朝がやってきた。
また歩き始めねばなるまい。
蟻のように。
今日もいたるところで、様々な色の風船が飛んでいくのだろう。