耳の両側。
もしくは耳の片方をぎゅっと握り締められている。
耳を軸にして、体は宙をぶらんぶらんぶらんぶらん、と空を舞い踊っている。
というよりは、ぬいぐるみにとっては迷惑そうにも見える。
ときには、忘れられて。
ほっとかれて。
雑にそこにおかれて、
寂しそうにそこにいる。
眼差しの向こうには持ち主のあの娘。
このまま忘れられていくのかな、なんて寂しそうに不安に持ち主へ眼差しを送っているとパタパタと走ってかけてきて、やっぱり雑に持ちやすい耳を乱暴に握り締めて、かけていった。
乱暴に扱われてはいるが、とても大事にされていて、その娘にとっては大切なお友達。
ぎゅっと抱かれていて(握られていて??)大事にされている。
そんな街中で見かけるぬいぐるみを持つ小さな少女の姿が愛おしく思える。