ゴゴゴゴゴゴゴゴ…
低い音が空から鳴り響いてくる。
音が鳴る方へ、「なにごとだ?」と人がざわざわと集まりだす。
空を見ていると、ゴーゴーと音を鳴らしながら、
小さな雲が、ひとつの中心に向かって勢いよく、渦を巻きながら、
集まっていく。
渦の中心からは眩いほどの光を放ち、その光のグラデーションが
見ている僕たちを照らしている。
神々しく輝く光は次第に大きくなり、
すべての雲の渦を飲み込んだ瞬間に、一瞬あたりを真っ白な眩しい光で包んだ。
あまりの眩しさに目が見えなくなってしまった。
目が慣れてきてゆっくり瞼をあけて、もう一度同じ方向の空を見たとき、
魚のような生き物がゆっくりと移動しているのが見える。
なんとも不思議な光景に、あたりにいる人がどよめいている。
まるでU.F.Oを目撃し、この瞬間を目撃した人々との驚きと興奮を共有するかのように。
この生き物はどこへ向かっていくのだろうか。
しばらく様子を見ていると、この生物が向かっている先に、さっきみたような光り輝く光。
きっとあそこに向かっているのだろう。
その生き物が、光に近づいたときに勢いよく飛び込んだ。
魚が水中から外へ飛び跳ねて、また水中に落ちるときのように。
光に飛び込み吸い込まれていった生物の姿は見えない。
また光が眩いほどの光を放つが、雲が逆再生のように渦を巻きながら、
元の姿に戻っていく。
どんどんと強い光を放っていくけど、雲がかばってくれていて、
はっきりと見えるけど、中で何が起こっているかは、まったくわからない。
カシャカシャとシャッターを切る音が聞こえる。
不思議な出来事と不思議な出来事をおさえるカメラマンを撮る僕。
シャッター音が止み、カメラマンはおさえた写真を見ている。
神秘的な出来事は真っ白になって、だんだん消えていく。
先ほどの、ざわめきも静かになり、またいつものような時間が流れ出す。
彼のファインダーには何が写っていたのだろうか。
でも、それは彼の目にしか見えなかったものなのだろう。
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