bow's Design(ボウズデザイン)

シャトーラコーヒー フォトブック

日記「フォトブック」

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この先を少し真っ直ぐ歩いていけば、僕のお気に入りの憩いの場所がある。
このお店の窓際の席がお気に入りで、窓に映し出される光景を眺めながら、ゆったりとした時を過ごす。
それが楽しみで、至福の時間だった。
青色のテントが目印で、開いている合図。
お気に入りの窓際の席が空いているか店外から確認し、空いていたら席を確保するためいそいそと店内へ駆け込み、窓際の席をゲットする。
そんなことを思い出しながら、店の前の道を歩いていたが、現在は目印の青色のテントも、大きなサインもなくなってしまった。
去年の11月の末日でクローズしてしまったのだ。
まだ僕には記憶が新しく、クローズしたテナントに青色のテント、サイン、店内の様子が残像のように映し出され、うっかり正面玄関へまわり扉を開けてしまいそうになる。

このお店に初めて入ったのはいつだったか。
かれこれ数年前に遡るが、当時とあるプロジェクトを行なっており、神戸の起業家の取材と撮影を行なっていた。
4〜5人のチームで、一日3〜4件ほど取材を行なっていた。
その頃、かなり忙しくギチギチのスケジュールのなかで動いていて、その日3件目となる取材に僕は参加できず、別件の打ち合わせを終えた後、チームと合流し、次の取材まで多少時間があったので、休憩することになった。
そのときに入ったのがシャトーラコーヒーで、その日がはじめてだったと記憶している。

神戸三ノ宮磯上通りにあるカフェ シャトーラコーヒー

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それからというもの、今日まで憩いに足繁く通ったお店である。
好きになったところは、何度も何度も生き続ける性質がある。

その性質に気付いた知人からたまにツッコミが入ることがある。
とある店のとある弁当を頼んだとき「またそれやん。」「あきひんの??」
また別の知人から聞いた話で頭に残っているが、とある有名な映画の話になった。
知人はその映画がとても好きで、新しいシリーズが出るたび見るそうだ。
その映画というのは、僕はあまり興味がなく見たこともない。
この人が見続けているのに興味が湧いて、何が面白いのか、訪ねてみたことがある。
儀式、というか、それをみないことには、はじまらないというか…
僕がツッコミを受けたいつものお弁当をつつきながら、こんなことをふと思い出したとき、ああ、なるほどね、と直感的に納得できたものだ。

さて、またお話が脱線してしまったが、僕の直感というのは、自分の領域にとっては正しく働いているようだ。
ここは君にとって、とても居心地の良いお店になるよ、と僕が僕に教えてくれた。
それはその通りとなって、週末がオフになる日の夕方はここでよく過ごしたものだ。
数年の間、振り返ってみると、楽しいことばかりでなく、辛いことも苦しいこともたくさんあって、そんなときのモヤモヤとした気持ちも窓際に映る景色が癒してくれたものだ。
窓に映るスクリーンは様々な景色を映し出してくれた。
苦楽を共にした空間だった。

優しいウッド調の広い空間。
丁寧に育てられたグリーン。
とても居心地がよく落ち着ける空間だった。
次第にお店の方も覚えてくださるようになって、会話をするようになった。
お父さんとお母さんをはじめ、スタッフの皆さんもとても素敵な人たちで、とてもよくしてもらった。
しんどかったときは、皆様の温かさにほっこりさせてもらったこともあった。


そんなお気に入りのお店が去年の11月の末にクローズしてしまった。
16年間も続けられたそうだ。
最近ではなにが起きても、なにかを聞いてもあまり驚いたりすることはなくなったが、クローズのお知らせを聞いたときは大変ショックを受けた。
クローズまでの残り少ない時間できるだけ通った。
ここでの思い出が走馬灯のように頭の駆け巡り、記憶に強く焼き付けた。

果てなき青空。
忘られぬ人に、思いを届けて、また逢う日まで。
ずっと笑顔のまま、麗しまほろば、なつかしき故郷。

とある曲の一節が頭に浮かび、口ずさむ。
僕には特に「故郷」と呼べる場所はないが、ここは故郷のような場所だった。
16年もの長い間、お疲れ様でした。
そして、いろいろとお世話になり、ありがとうございました。
また、きっと、どこかで。

フォトブック

年末は予想と打って変わって大変バタバタとしていて、朝も夜もみっちりスケジュールが詰まっていて、忙しい日を過ごしていた。
少しだけ落ち着いて、溜まった郵便物に目を通していたところ、見慣れぬ差出人からの手紙に目が止まった。
「誰だろう??」と開封したらシャトーラコーヒーのお父さんとお母さんからのお手紙だった。
直筆のお手紙にほっこりした。
お二方とも上品でとても優しい方だった。
手紙の文字から光景が思い出される。
そこに一冊のフォトブックが入っていた。

シャトーラコーヒー フォトブック
シャトーラコーヒー フォトブック
シャトーラコーヒー フォトブック

16年の歴史が詰まったフォトブックだ。
娘さんがカメラマンだそうで、写真の構図やタッチが美しい。
instagramも運営されていたのだが、とても写真が綺麗だった。
空間の温かさや、優しさをも捉えられていて、写真からそれら滲み出てくる。
写真から溢れてでくる空気に懐かしさ、を感じほっこりした。

シャトーラコーヒー フォトブック

アーティスティックな構図も大変好みで、ファインダーから何が見えたのだろう、と気になってしまう。
最近はグラフィックやイラストでクローズする案件が多く、写真を使ったビジュアル作りを久しぶりにしたいと思っている。
その際は、ぜひお願いしたいです。

シャトーラコーヒー フォトブック

このフォトブックの中に僕らも写っている。
クローズ前に寄った帰り、お母さんから記念撮影をお願いされたときの写真だ。
すごいサプライズだ。
すごく嬉しかった。
右に写っているのは、僕が行くたびに注文していたシャトーラコーヒー特性クッキー。
ロイヤルミルクティーとクッキーを頼んで、窓際の席で過ごしていた。
このクッキーが美味しくてね。ほんと。
16年の長い歴史の一コマに映ることができて大変嬉しく思う。

宝物。
小さな頃というのは、宝物がいっぱいあったものだ。
それは、他人から見たらどうでもいいようなもの。
どこかで拾った変わった石とか、ネジとか、いろいろ。
そういうものを洋菓子の空き缶の中にところせましと大切にしまっておいた。

大人になってくると、物質的な宝物はほとんどなくなる。
心の中に残るからである。
ただ人からいただいた手紙とか写真とか、そういった特別なものは、洋菓子の空き缶の宝箱に入れておく。
新しい僕の宝。

今日の作業用BGM

ウルワシマホロバ〜美しき場所〜 / 原由子

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