そういえば、と。
15年ほど前の出来事をふと思い出していた。
そのとき元町を歩いていた。
進行方向の少し先にあった中華料理店の前に一台の車が止まった。

扉が開いて出てきたのは、えらく背丈の高いおじさん。
「でけー。」と思っていたら、こちらを振り返った。
あら、どこかで見たことのある顔。
当時、阪神タイガースの監督を勤めていた星野仙一さんだった。

テレビのに映る監督の印象では、小柄なイメージだったが、実際は見上げるほど背が高く、体もがっしりとしていた。
監督の退任発表をしていたこともあり、そーっと近づき、ありがとうと続行してほしい胸を伝えたが、笑顔で「ありがとう、でも決めたことやからな！」と笑顔でお店に消えていった。
当時、突然の出来事に驚きと興奮をした記憶をふと思い出していた夜更けのこと。

そんなことを思い出しながら、携帯電話を手に取りニュースフィードを表示したら、星野仙一の訃報の速報が表示されていた。
思わず「嘘！」と声に出して、ニュースを読んでいた。
虫の報せ、なのかな。
ここ最近こういった不思議な出来事がいくつかあったわけだが、ふんわりとした記憶だけ残っていて、具体的な内容については忘れてしまった。

目が覚めて、外に出た時に空を見上げて見たら、虎が吠えているような雲が空に浮いていた。
それはまるで、当時の監督が活躍している頃の姿のように思えた。
在りし日のお姿を偲びつつ、ご冥福をお祈り申し上げます。