風にあおがれ、すすす…と動く小さな埃よ、何処へ行こうというのだい。
取ってやろうと手を伸ばしたら、ふわりと空へ踊るように舞い、そんなに楽しそうに何処へ行こうというのだい。
自由で、果てしなき旅に赴くというのかね。
それとも鬼ごっこにでも興じるというのか。
人々に寄生して人の一部となるのか、それとも排泄物となるのかな。
消えゆくことのない君は、何処へ行こうというのかね。
君たちは無垢であり、静かであり、だけれど外からの力にはめっぽう弱く、迎合的かといわれれば、そうではなく、そんな時はとても賑やかで、なんと無邪気なことか。
太陽の光が眩しいなあ。
光の中を舞い、きらりと輝く君は、人々に希望を与えるのか。
そうであったなら、今日も何処かで誰かが救われるだろう。

思考的実験「埃たち」