ああ、まただよ。
今日もやってきた。
何がだって??
ああ、あれは、幼い頃にブラウン管に映った英雄に憧れ、憧れたものの、何者にも慣れなかった慣れの果ての姿、そういう奴が群れあって傷の舐め合いをしているのだよ。
風貌と口と態度はでかいのだけれどね、いざって時になったら逃げだしちゃうし、もういなくなるダサいやつらなのよ。
まあさ、懐古主義ってやつかね。
ほら、デパートの屋上にあるさ、アトラクションスペースってさ、魅力的だったじゃない。
アドバルーンがあってね、まんまとそこに誘われてねえ、キラキラしててさ、夢の中にいるようだったじゃない。
100円入れたらね、スーパーヒーローの背中の上に乗ってさ、ガタガタ揺れ動くだけのものなのだけれど、一緒に悪者と闘ってさ、世界を平和にしているような気分になったよね。
そう、あれさ、あれなんだよ。
あの格好良い仮面は古くなってぼろぼろになって割れたところから顔が見えてさ、パリッとしていたマントはぼろぼろになってどろどろになってさ、あの時のように飛ぶことはできないから、いけないものを使ってトリップして英雄になった気になるんだけれど、弱いものを更に蝕む忌み嫌われる詐欺師のような存在だものな、思ってもみなかったことだ。
そらあそうさ、ブラウン管の中にいた英雄はこんなことしていなかった。
英雄は救うことができなかったことに苦悩をするも役割故に苦悩するも、てめーはてめーの人生の悩みそれを有耶無耶にするために、同じような仲間と集って傷の舐め合いして、関係の無いものへ鬱憤を晴らそうとするごみくずだ、人間てのは下衆ってのを自分で理解する必要があるよね、下衆の癖に偉そうに正しい講釈を垂れやがる、そして反対のことやるっつうのが性ってものよ、常にね、矛盾がはらむ生き物なのだよ、そして自分の正当化する作業をし続ける生き物だよ、あの怪獣は果たして悪い奴だったのか…??なんてね、笑っちゃうね、しかしな、そのうえで、だよ。
え??ああ、ははは、言わば英雄との対立する存在だものなあ、皮肉なものだよ。
まあ、頭が悪いとね、おんなじところでずーっと巡り続けるのよ、そしてね、足を引っ張り合う、地獄のようだねえ…一人になった時、虚しくなるだろう。
一人ってのは寂しいものね、でも最後は一人なのだよ。
大事な人を残して逝ってしまう強さがいるのだよ、大切な人に残されて生きる強さがいるのだよ。
なに??
行かなきゃいけないような気がしてだって??
はは、そいつは誰かに何かに呼び覚まされているだけだよ、君の意志ではないのだよ、少年漫画の読みすぎかインターネットの虚像の世界、もしくはテレビの見過ぎだよ、それとも誰か言っていたのかい??純粋なんだね、ははは、君のいけないのは誰かが作ったものに自分をはめ込みすぐにはめこもうとするところだよ…わかるかい、それは無理があることだ、誘導されるのは嫌いじゃなかったかい??やらされるのは嫌いじゃなかったかい??眠ろうとしたのだろう、眠れば良いのだよ、だから、おやすみ。
何かをやらなきゃだって??
ははは、そうだよ、よく分かっているじゃあないか、でも、これじゃないのだよ、いつも向き合わず逃げてばかりだったことに向き合い踏み出すことが大事さ、面倒くさいって??仮面をつけるのは、マントをつけるのは、最初は面倒くさかったろう、やり続けると、理解できると、そんなことは思わないよ、まあ、面倒くさいのは消えないかもだけどね、だからおやすみ、また明日。
なあ、見えるかい??君の幼き頃の姿が、何を見ているのかな??
君の大好きだった英雄のコイン式電動遊具。
それに出会った頃の君の姿はとても美しい。
さあ、その大事そうに抱えているベルトを外しておねむりなさい。
そんなものぶら下げてくだらない意地を張らなくても良いのだよ、そんなものはまがい物。
意地ってのははらにゃきゃいけない時にはらなきゃあ…まあさ、その時が難しいんだけどね。
何が言いたいってさ、大事なものは君の心の中にあるのだよ。
さあ、ほらまた新しい朝がくるよ。
だからさ、ゆっくりおねむりなさい。
いいかい、変わることが大事なのではないのだよ、自分を生きるということが大事なのさ。
そうさ、本当の君は誰かの英雄なのだからね、待っている人がいるのだよ。
喧しく聞こえてくる音は消したまへ、そして奏でよ、表現せよ、向かい風に向かえよ。
今日の作業用BGM
never young beach / やさしいままで