bow's Design(ボウズデザイン)

道 イラスト

日記「図鑑」

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本棚に並べられた本の中でも、大きさと厚さで一際目立つ存在の図鑑。
それをよいこらせと持ち出し、どすんと置いた。
表紙にある絵や写真は知的探求心をくすぐり、その本の扉は静かに重たい音をたてながら開かれる。
何度も読まれた図鑑は、折れ曲がったところや、破れたところや、汚れがあって、直されたところがうかがえ、古代人が残した古文書に見える。
一頁、一頁、めくる度に深くなっていき、確信に迫っているようで、脈打つ鼓動が早くなる。
いつの間にやら辺りは真っ暗な洞窟の中にいて松明を灯さないと何も見えないような。
ゆっくりとすり足で慎重に。
松明に灯されて浮かび上がってきた重厚な扉。
まばたきさえ忘れ瞳孔は見開き、ごくりと息を飲む。
重厚な音はごごご、と重厚な音を開きはじめる。
開いた扉が見せてくれるものとは、ただただ真っ白な空間であって、そこには何もない。
青い海の底の深い海。
青い空、橙色の空、深紅の空の上にある宇宙。
それに思いを馳せ、探求心が掻き立てられ、使命のようなものを感じるのはなんなのか。
それが人の性というものなのだろうか。
この図鑑はここで終わっている。
真っ白な一頁。
ここから先は託された始まりの一頁に違いない。

今日の作業用BGM

got to be real

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