bow's Design(ボウズデザイン)

雨上がりの木の枝 写真

日記「紙がぱらぱらとはためくから。」

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時折やってくる緩やかな風に光沢を持った紙がぱらっ、となる。
数を重なるたびに、だんだんとレンズに映り込み今見ている被写体のピントが合わなくなってくるのが分かる。
紙を揺らす緩やかな風は涼しくて心地よい。
その度に、ひら、ひら、と紙はなびく。
少し曲がって、シーソーのようになった紙が光の方へ起き上がったときに電子機器の液晶画面が煌々と光り、なにか伝言を伝えようとしているようだ。

正直、電子端末は自分にとって重要ではないし、どちらかというと邪魔な存在だから、どこにしまっているのか忘れてしまっている。
使うときに最後に使った記憶を辿りながら探すことはいつものこと。
どうやら集中力がきれたようだ。
なんとも思わなかったのに、椅子の背もたれにどっと体をあずけた瞬間、体にもどっと重たいのがのしかかったような気分だ。

夕焼けの神戸 写真

人気のない、暗い道をスタスタと歩く。
邪魔をされることなく、なにかに合わせることなく、快適に歩くことができる。
足元を見てみると、前に出した足が交互に下からリズミカルに映り込む。
黒いアスファルトが街灯の灯りに照らされてきらきらと光るから夜空のようにみえる。
空を見上げてみたら、星空はややマットな質感で美しいとはいえない。

横を見てみると自分の影がぼくにべったりついてくる。
それがコントラストを強めて距離を縮めてくる。
ネオンライトが煌々といそいそと誘うように怪しい光を放つ。
たくさんの人の気配を感じる。
さっきの静寂は失われて、人々の声がぬえのようになって耳に入ってくる。
僕の影がなにかの影に重なって交差したところは色が濃いくなっている。
あたりをみると街の中を歩いている。
ああ、僕は生きているのだ、と気づく瞬間なのだ。

androp / puppet

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