bow's Design(ボウズデザイン)

朝焼けの空と木の写真

日記「あのときのクリスマス」

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チューイングガムのシール

レジカウンターで会計をしていたら、そこに置いてあった商品を手にとって眺めていたら、店員さんに「ご一緒にどうですか??」と尋ねられた。
こう、明るく元気よく愛想よくされると弱い。
それが仮面であっても、例えば低いところを推移する横線があったとしても、声や表情や動きに表現するということは、くっと一瞬あがる。
その一瞬の行為に応えたいと思うのが人間だろう。いや、僕は単純細胞だ。

しかし、それはさほど欲しい商品ではなかった。
チロルチョコレートのなんやよくわからない味のものと、トーマスのチューイングキャンディ。
そういや、チューイングキャンディって小さな頃、よく食べたよな。
クイズがあったり、シールがあったり。
当時いくらいくらいだったろうか。
美味しく楽しんだ懐かしいお菓子。
これを買って帰った。

チューイングキャンディを噛みながら、シールを貼ってみた。
小さな頃は難しくて上手く貼れなかったが、貼れるようになっていた。

瓶の写真

さて、クリスマスも終わり、年明けまで残すところ僅か。
クリスマスはいかがお過ごしだったでしょうか。
サンタクロースはやってきましたか。

クリスマスになると思い出す話。
僕が小学生のいつ頃だったかは忘れた。
クリスマスシーズンになり、学校ではサンタクロースに何をお願いするか、というお話で持ちきりだ。
クリスマスに近づいていくカウントダウンと比例して、ワクワクやドキドキが高揚していく。
子どもながらにサンタクロースのことろ気遣ったのだろう。
寒くて雪が降りしきるところから、たくさんの子どもたちのプレゼントを大きな袋に詰めて、配っていくのだろう。
労いと欲しいものを届けてくれることに感謝。
自分に出来ることを考えた。

手紙とお菓子の缶の中に詰めてあった数少ない宝物。
宝物といっても、自分が価値をつけたものだから、市場では全く価値のないもの。
それを汚れた小さなコルク瓶に詰めて、枕元に手紙と添えて置いておいた。
気持ちが高揚しているから、そんなときほどなかなか眠れないものだ。
布団の中で寝返りをうったり、羊を数えたり・・・
知らぬ間に睡眠に入っていた。

鳥のさえずりが聞こえたと同時に布団をはねのけ、飛び起きた。
振り向きざまに枕元を見ると、手紙とコルク瓶はそのままだ。
子どもながらに、サンタクロースは気持ちだけ、ということなのだろう、と。
肝心のプレゼントが枕元にはない。
部屋の中をくまなく調べてみたが、見当たらない。
当然親にそのことを伝えるが、明日かもしれないね、などという。
そんなイレギュラーもあるんやね、と。
空の交通事情とか量が多過ぎて夜明けまでに間に合わなかったとか、なにかしら理由をつけて納得して学校に出かけた。

しかし、学校ではプレゼントの話で持ちきりだ。
今夜やってくることに期待をするものの、なんだか不安になってきている。
忘れているのではないか、とか。
そんな不安を抱きつつも、また手紙とコルク瓶を枕元に置いて眠りについた。
リミットを超えた時の高揚感というのは半端ないものだ。
また昨日と同じようになかなか眠れない。

鳥のさえずりが聞こえた。
布団をはねのけ、飛び起きる。
枕元を見るとまたしても、手紙とコルク瓶は同じところに置かれている。
部屋の中をくまなく探すもプレゼントが見つからない。
また、親に話すも、明日ちゃうかなー、なんて言う。

学校から戻ってきて、兄弟3人となぜ来ないかをディスカッションするものの、「こたえ」が見出せないまま、「まあ、今日の夜やろう。」という方向性もやることもなにも決まらない無駄な会議や打ち合わせのような感じで終わった。
しかし、翌朝も届かなかった。

ワクワクやドキドキの高揚感は次第に、怒りへと変わっていった。
もう終業式で冬休みに入ろうとする。
学校ではクリスマスプレゼントの話題はもうなくなっている。
僕といったら未だ終わっていないのに。
それがまた苛立ちを高まらせた。
一日そのことで頭いっぱいなのだ。

待てども待てども。
僕のキャパシティを超えた時に、プツンとなって妙に落ち着きを取り戻し、あらゆることにアンテナを張り巡らし思考した。
そして、全てを悟った気がした。
自分の家の環境について薄々気付いていことも全てが繋がった。
兄弟はまだ消化不良のようだ。
僕は長男として、夢を壊さないように兄弟を諭した。
「今年はこれない。また来年かな。あきらめようと。」

まあ今だからそういう風に思えるのだろうが、親も辛かっただろうな、と。
子どもの夢を壊したい親など、いないものだろう。
時代と現実社会の煽りの中で親も必死だったのだ。
なによりも耐え難い辛さ、というのが自分に置き換えた時にわかるものだ。

道路の写真

イルミネーションの中を、鼻を赤くして、ビジネスバッグとクリスマス包装の大きなプレゼントを大切に持ち、いそいそと帰る人。
お父さん、なのだろう。
僕の横を小走りでかけていったとき、一瞬視界に表情が映った。
イルミネーションで目が輝きと微笑み。

Have Yourself a Merry Christmas /Mel Tome

 

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