雲散霧消。
狼の群れは散り散りに逃げていき、
勝ち名乗りの遠吠えが夜を裂く。
群れは飽き足らず、縄張りを広げ、
群れの争いは激化。
対立は深まり、群れ同士の緊張感は高まっていく。
またひとつの群れを見つけ、
襲いかかった。
しかし彼らはこちらを少しだけ見ては
静かに腰を上げ、
抵抗することもなく、
黙ってその場を明け渡した。
群れは呆気の無さに疑問を抱きながら、勝ち名乗りの遠吠えをあげた。
彼らの行く先に目を向けた。
月に向かい、静かに歩く群れの姿が、
シルエットとなって夜に浮かび上がっていた。

人間は、動物とは違って高尚な存在として生きているように見える。
しかし実際は、極めてプリミティブな本能によって成り立っている。
思想のぶつかり合いも、正義の主張も、
その多くは“縄張り争い”という動物的な本能の延長線上。
序列、繁殖、帰属、同調と圧力、防衛、模範、生存。
それらはすべて、風のように見えて、牙を隠した衝動。
人間の言う知性という仮面の裏には野性が息づいている。
同一に持っている本能を互いに否定し投げ合う。
未来への一歩とは、
この本能を否定することではなく、
理解したうえで、
それを超える風を編むこと。
それこそが、
本当の“ヒト”の始まりであり、
未来を創る一歩なのかもしれない。











