パンのあれこれイラスト。
いつしかパンを描くのが好きになった。
自分から色が抜けてしまって真っ白になったら、もう何もなくなってしまって、思い浮かぶこともなく灰人のようになって遂には黒くなってしまう。
この状態を放置しておくと、おそらくは、少しふれるだけで風になびかれるだけでも、僕の実存が欠片のように崩れ、砂のような細かな粒子となって何処かにいってしまうのだろう。
無の中の視野に入るのは、長く触れているはずの画材であって、無の中で無の色を拾って無の色に触れ、色を集めて何かの形を作る。
色の集合体は何かしら感じさせてくれたり、思わせてくれたりするようで、灰の中で燻る小さな灯火に力がまた宿る。
景色が色づく。
音が聞こえる。
自分の手が動いていることが見える。
気付けば鳥のさえずりが聞こえる。
それに気付き窓を見ると外が明るくなっていることに気付く。
コーヒーを沸かし一口飲み、机にカップが置かれたころ、またいつもの日常が戻ってくる。