テレビ番組「美の巨人たち」で石田徹也を知る。
当時、彼の生涯と作品にものすごく引き込まれた。
自分自身が精神的にも病んでいた時期でもあり、彼の作品に感覚的と人のとらえかた、社会のとらえかた、自分を中心においた周りの見え方にとても共感したのを覚えている。
現代社会への皮肉。
現代人への皮肉。
早い速度で進歩していく社会、技術、テクノロジー。
新しい「モノ」が次々と排出される市場。
それに我れ先と食らいつく人々。
それにとらわれてしまい、その世界でしか動けない人。
縛られている人。
現代社会は一見とても満たされ、幸せな人たちの集まりのように見える。
しかし、その光景が違和感を感じるシーンも多々ある。
それは日常生活の中で感じることだ。
いつまでこの小さな画面の中を操り続けるのだろう。
彼の描く作品は、明るくポジティブな作品の印象ではなく、どちらかというと暗く、悲しく、ネガティブな印象を与える作品。
もうひとつ言うならば、ユニークで、面白い作品。
この画集を一枚一枚めくる度、彼の心の叫びが伝わってくるような感じだった。
当時の自分とリンクし彼の世界観にとても共感した。
今でも書棚にしまってあるが、最近は手に取ることはない。
それでも、ずっと忘れずにいる。
そして彼の「なにか描かないといけないよう気がして」という言葉。
これもずっと忘れずにいるんだろう。