今年出会ったコピーライターさんに紹介してもらった絵本。
生と死をテーマに「死んだあとどうなるの?」
そんな疑問について描かれている。
幼い頃だけど、トイレに入ると考えることがあった。
トイレは唯一の個室空間。
入っている間は誰も話しかけてこないし、邪魔されない。
自分だけの空間。
用を足す道具以外はありませんから、考えるのによい空間だ。
わざわざ考え込むからトイレ行くわ、なんてことは無いけど(笑
テーマは決まってこれだった。
「自分はなぜいるんだろう??」
手を動かしてみる。
足を動かしてみる。
声を出してみる。
自分の目で自分が動いているのを確かめた。
トイレを出たら鏡を見て、自分の姿を見る。
鏡にうつる姿は自分が動いた軌跡としっかりとリンクしていた。
「死ぬ」ってなんだろう。
自分がここにいなくなるだけなのだろうか。
「死」とは当時なかなか受け入れがたいことだった。
母親、兄弟、友人、祖母、祖父など身近にいる人は死ぬなんてことないだろうと、思い込んでいた。
しかし、生きる時間が長くなればなるほど、「死」に出会うことも増えてきた。
はじめての出会いは「ひいおじいちゃん」だった。
会った回数でいえば、片手で数えられるくらい。
遊んでもらったことも無ければ、話したこともほとんどない。
記憶の中にほとんど思い出が無いのだ。
間もなく無くなったと母親からの電話がかかってきたとき、なぜか涙があふれた。病院のベッドで交わしたいくつかの会話。
それが思い出された。たわいのない会話である。
あっという間に終わる。
それでも、出会えないことに悲しみが溢れ、泣いてしまった。
人は死ぬ。
受け入れられるようになったのは、もしかしたら最近なのかもしれない。
自分が誰かの「死」を変われるわけではない。
「死」から守ることもできない。
平等にやってくるものだ。
今は「死」が怖い。
守るべき家族。
やり遂げないといけないこと。
自分がこの世界でやらなければいけないことがたくさんある。
死んだらどうなるのか、死んでみないと分からないけど、まだいいや。
ここでの全てがそろそろ終わったよ、と思えるようになったら、そんときに迎えにうなずいてみたいと思うよ。
そんな思いを感じた一冊の絵本でした。
作:谷川俊太郎
絵:松本大洋
かないくんをつくった人たちの声を集めて。