段々と赤や黄の暖色のアーチの中を歩いていて、足元でばりっとか、しゃりっとか、落ち葉が心地よい音を奏でる。
弾力のある地は足に優しく、関節の摂理に沿った歩行ができるように感じる。
後ろを振り返れば、綺麗に舗装されたアスファルトの道が見えるがこれは一体??
弱風が吹き抜け髪がふんわりとなびいた。
からからからから…と音を鳴らし、一枚の枯葉がアスファルトの道をぎこちなく歩いている。
しかし絵になるものだな。
この季節の備えられたベンチは寂しそうに見える。
寒くなるから、座る人は疎か、訪れる人も少なくなるから、いつもよりポツンとしている。
いや、冬だからではない。
たとえ誰かが座っていても、ベンチはいつも、どこか寂しそうにしている。
哀愁というのか。
ただ遠くを見つめ物思いに耽る様。
ベンチに座り、そんな風に過ごす人が浮かんでくる。
からからからから…と、柔らかい風が吹き、地を落ち葉が揺れる。
そのような優しさでは決して癒えようのない人間の持つややこしいところなのだが、心は幾らか軽くなるものだ。
何も言わず、何も語らず、何を考えているのか分からないし、共感もどうか、ただ、そういう心境ってな、突如としてやってきて、どうにもなんねー、っていう時は分かるもんだから、まあ、なんにもしてやらねえが僅かな時間でも同じ景色をぼけーっと見てやるくらいはできるかな、なんて。
ベンチを見るとそんな風に思うわけだ。
今日の作業用BGM
くるり – Remember me