今日はこおろぎが良く鳴いていた。
僕を囲む森林のあちこちから「秋だぜー」とお知らせのメッセージをなげてくる。
頼んだわけではないが、良い知らせだ、などと心の中で会話しているの。
わりと涼しい風が吹いているし。
今日は空一面曇っているから、星空の模様はうかがえず。
いつも言っている気がするんだよな。
描いているともっと、もっと、そう思う。
絶妙で完璧。
こんな不釣り合いな色でさえも、納得してしまう。
アメーバーのように、動くたびに少しずつ形を変えていく雲。
そのひとつひとつも変わっているのに、違和感がない。
大地だって。
平たい場所も、でこぼこの場所だって。
歩いてみても、歩きにくいなと思うものの、楽しくさせてしまう。
つまいづいてみたら、笑ってしまう。
街灯や整地された道をも飲み込んでしまい、完璧な構図と色合い情緒も持たせ、一瞬の一こまは美術館に飾られる名画のようになってしまう。
同じものは二度と見れない貴重さ。
木だって。
例えば、葉の集合体のところが人間でいう頭で髪だったならば、賛否がでそうなスタイルなのに。
どんなヘアースタイルだろうと、誰も文句言わないでしょう。
デニスロッドマンのいっときやっていた虹色の頭はあきらかに違和感があったわけだけど、
潔いわけですし、堂々と仁王立をかまし、格好良い。
その足元に生えている小さな花や草も。
風にわずかに揺られ、るんるんしているような様子がなんとキュートなことか。
そんな構図の真ん中に吹き抜けになった遠いあっちを眺めている男の子は何を思っていたのだろうか。
走り回っていたのに、ピタリと止まってなにかを眺めている。
数秒たって、また元気よく笑顔で友達のなかへ走りさっていった。