どうしてか…
両腕を抱えられ乱暴に
どこかに行くのやら引っ張られ、
辿り着いたや、暗闇の
錆びた重厚な扉の前。
不気味な音を立て開けば、
輪郭を持たない深淵の入り口。
言葉を失い佇む背中に
どすんと蹴りをぶち込まれ、
こっちの覚悟もくそも猶予なく、
その深淵に蹴りこまれ、
体制を整えているところ、
不気味に音を立てながら、
終焉を思わせるような鉄の音が
聞こえたら、自分の輪郭が
掴めない闇の中で浮遊する。
地がどこにあるか分からず、
自分の姿が一切分からない。
昔なら目に映った手や足までも
見えず、状況を凡そ把握できた時、
底知れぬ恐怖が襲い掛かり、
発狂しそうになった…が、
途端に冷静になった。
寧ろこの静寂こそは、
ずっと望んでいた姿。
宇宙の如く深淵の、
意図なき意思なき、ただの理として、
そこで燃え尽きることを。
しかし、この独房の、
外から聞こえる悲鳴の数々にだけは、
心を揺さぶられてしまう、というものが、
人というものか。












