吹き出し
思ったことや伝えたいことが言葉とならず、胸のうちに溜まっていく。
そんな自分の気持ちとは裏腹に、景色は無邪気に踊っている。
複雑でもなく、難しくもない、普通の伝えたい言葉は、胸のうちで複雑に緻密に絡み合い、積り積もって重なっていく。
鬱屈
言葉に表現できない鬱屈が、上手く伝えることができない鬱屈が、そうだから、別の形で気持ちを伝えるも、それさえも、上手く伝わらない鬱屈が、曲解された鬱屈が、心の奥底の鬱屈とは裏腹に、糸で操られた目と口が不器用に笑っている。
その鬱屈の意図は首に複雑に絡み、首を絞めるようで、本当は息苦しい。
その苦しみや、鉛筆の黒鉛の粉が飛ぶように、糸が解きほぐれ、紙に馴染むのさ。
水風船
表現できない言葉が胸の中で積り積もっていくのは、例えるならば、祭りの屋台のヨーヨー釣り。
箱の中一杯に詰まった水風船が、ひしめき合いながら、ぎちぎちと音を立てて所狭しと揺れている。
誰かにすくわれるのを待つように。
必死に躍起になってすくいあげようと試みるも、感情のままにはい出た悪たれ口。
歯がゆさに自身に放たれる。
畳
襖を開ける仕草とは、今となっては、昔の文化に触れるような形となりつつあって、
それに触れることができる好奇心と童心が引手に手が誘われる。
襖の奥から漂う畳の香り。
初めてであるはずなのに、懐かしい香り。
初めてであるはずなのに、長い時を経てようやく故郷へ帰ってきたような。
沸々と湧き上がる喜びをかみしめる様に一歩一歩、古木のきしむ音が鳴る。
窓から入る光が僕の陰影を形作る。
消えかかっていた存在に再び息吹を込めるように。
そうである、確かに、ここまで歩いてきたから、懐古するのである。
境界
いろんなうねりが押し合いへし合いしている境界に窮屈に佇む。
自分であるのに、自分が何者なのか、自分が何なのか、どんな人物なのか、それが分からない。
違うものは窮屈に締め上げ、そうであるものは通す道を作る。
確かなのは、何か分かりかけている、いや、ちょっとだけ何かが見える、のかもしれない。
そんなうねりの中を必死に歩いている。
何かが分かるかもしれない薄い希望を持って。
欺瞞
「は・は・は」と笑ってみせた。
台本を読むように、世界観に合わせて、表情も作って笑ってみせたが機械的である。
そう感じなかったが、そうしなければ生けないような気がしてさ。
そう思わないけれど、そう思ってみることも大切なことなのだ、と感じてみる。
その適当さや、嘘に違和感を感じてしまうのも、ずーっとではないだろう。
そこにいるのは自分であって自分ではない。
しかし、そういうものなんだろう??
そう周っているのだろう??
因果
何の因果か分からないが、どうでも良いことに思い煩い、
思い悩む長い時間を過ごすこととなってしまった。
最中とは、とても長く苦しいものだった。
楽しい時間とは一時のもの。
そんなことを忘れさせてくれる時間とは刹那のこと。
一人の自分に戻った時、同じような時間にまた戻る。
逃避してみたところで、すぐそばの後ろにそれはいる。
しかしどうだろう、その日々の過ぎ去りしころ、黒く重たい冷たいそれは、
知らぬうちに姿を消している。
はっと笑ってしまいそうになる。
時は解決してくれる。
ただ待っているわけではなかった。
自分なりに必死に生きてきたわけだ。
未だに上手くやれるわけではないが、あの時よりは少しだけ、楽になったのかもな。
コマ
急に片付けなんかはじめちゃって、昔の荷物の箱の中から独楽が出てきた。
そんなん仕舞ってたっけ??懐かしく思って久しぶりに回してみた。
よく回る。丁寧にゆっくりと、綺麗な弧を描きながらぐるぐると回っている。
お手本を見せてくれた人がやったように、同じようにやってみるが、そう簡単には回ってくれない。
あっちやこっちやいきながら、経験を重ねることで、こつを掴みだす。
手に馴染んだ感覚はより理論的になり何故回るのか、どのようにやれば回るのかが解ってくる。
上手く回すことができなかった時分のその自分は次第に失われ、
しかし、それを知った自分が新たな軌跡を描き出す。
傾き止まった独楽を再び回す。
あの時の軌跡はもう描くことはできない。
ただ新しい軌跡がはじまっていく。
そんなどうでもよいことに思い煩い、思い悩み、何やら一歩進める気がする午前3時ごろのこと。
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