ぬえ
都市の喧騒の中、あらゆる音が早送りした時のような音で耳をかすめていき、人々が縦へ横へ高速で視界を行き交う。
そんな時の中を潜り抜け、目と耳と頭とが静かになると、辺りはいつの間にか夜になって幾ばくか静かになる。
空を見上げると無数の星が浮かび上がり、ようやく一息を入れられる時には、先ほどの喧騒が走馬灯のようにさらに倍速になってよみがえり、音や映像がノイズとなって再生される。
印象に残った出来事はノイズを背景にしながら浮かび上がり、それを振り返る。
夜空に不規則に並ぶ星の中で、強く輝く星のように。
星を眺めていても何かがあるわけではないし、星は何かをしてくれるわけではないが、心にしばしの安息や、刹那的な救いのようなものを与えてくれる。
そこに流星が流れたならば、心の底から湧き上がる喜びが体に走る。
流星の軌道は星々を結び、何かを形作る。
なにはともあれ、やりきった。
思うことはあれやこれやとあるが、それは繋がれた風船がふわふわと吹く風に舞うように、作り上げた世界の欠かせないひとつである。
後悔がないというのは、こういうことなのかもしれない。
さて、この形には私の幾ばくかの思いや思惑があるのではあるが、果たして何処へ行くというのだろう。
無数の星の中に埋もれてしまうのか、見つけてもらえるのか、その行方とどのような姿になるのか、知る由もない。
晴天の青空の下、心地よい風が吹き、ふと空を見上げた。
誰かが飛ばした風船が風に揺られ飛んでくのが見えた。
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