向こうから何かに見られている気がする。
見たくないのだけれど、気になってそっちの方を見てしまう坊太。
冷たく重たい空気についには体が固まってしまいました。
一歩一歩近づいてくる気がしてとてつもない恐怖感に襲われ息を飲みました。
身体に大きな変化を与えてしまう予感とは、現実となり得る。
おぞましい大きな黒い怪物が坊太の前に姿を現しました。
その驚きの反動でか、硬直した体が動くようになりました。
つまずきそうになる体をなんとか整えて、その勢いを使って思いっ切り加速させました。
こちらのスピードよりも速く、坊太にどんどんと近づいて飲み込もうとしてくるのです。
坊太は必死で黒い怪物から逃げます。
走っても走っても、差は開きません。
見逃してもくれません。
それどころかどんどん詰めてくるのです。
坊太の体力はもう限界に近づいていました。
その時です。
目の前に大きな光が見えたのです。
残りの力を使って光に向かって駆けていきました。
力強く足で踏ん張って、
高く光に向かって飛び込みました。