bow's Design(ボウズデザイン)

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date | 2020.8.20 日記「キャップ帽」

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見ている画面に突如迫り来る物体に反射的に体が動き避けてしまう、あるいは防御姿勢をとってしまう、そんないたずら動画がある。
画面越し、というのか俯瞰視というのか、遠いところから見ていた人物が物凄い勢いでこちらに向かってきた。
避けるのは無理だと判断し、咄嗟に防御姿勢を取った瞬間に衝突したところ、僕は仰向けの状態からがばっと姿勢を起こし目を覚ました。
どうやら夢だったようだ。
何故だか息を切らし、汗をかいていた。
体を落ち着かせて、水を飲んだ。
目覚めていない体を起こし、ふらふらとしながら、いつもの椅子へ腰掛けて、さっきの夢を振り返った。

見ている人物は何かから逃げているらしい。
息を切らし、汗を流し、必死に何かから逃げている。
コンコンコンと地を走る革靴の足音が反響する。
いつの時代だよ、という薄青いブーツカットなのかベルボトムなのかのジーンズを履き、地味色の配色の体型に合ったシャツ、髪はかなりボリュームを持った長髪のカーリー、ここまでくると世代の人はとある俳優の風貌ね、とお察しのことだと思う。
ここでハット帽かな、と思ったが、キャップ帽であり、この髪型にキャップ帽は無理があるやろ、というような状態で被っており、右の手で落ちないように抑えている。
階段を走っている時も必死で抑えていた。
高層ビルの非常口のようなところで、鉄柵の外は高いビルや低いビルの群が広がっており、覗き込むと若干地上の様子が伺える、といったロケーションだ。
階段の上下を結ぶ中継地点の天板で急ブレーキで止まり、左右を確認したり、下を焦った様子で覗き込んだりしている。
冷静な状態ではないので、動きがいちいち誇張され、見ていて苛立つ。
その動きの間もしっかりとキャップ帽を片手で落ちないように抑えている。
もう脱げよ、邪魔やん、とツッコミをいれたくなってしまった。

ひとまず危機から回避できたのか、彼は鉄柵に勢いよくもたれかかり、シャツの胸ポケットからくしゃくしゃになった煙草の箱を取り出し、煙草の箱を何度か振り、おみくじのように放射状に飛び出た一番口にくわえやすい煙草を口で取った。
一度に火をつける流れに持っていかなかったのは彼に理由がある。
この時も、というよりは常に右手でキャップ帽を抑えているのだ。
彼のヘアースタイルのボリュームからいくと、手を話してしまうと確実にキャップ帽がはずれてしまうことが推測される。
はずしてしまった方が動きが取りやすいのは自明なことだ。
髪とキャップ帽との間に妙な力が発生しており、バネのような挙動をしているように見える。
彼は大変シリアスな場面を生きているが、こちらはお笑いコントを見せられているような気がしてきた。
ライターから放射された火は、15cmほどの長さに達し、いや、それもろやん!とツッコミを入れるも、顔を傾けながら、そしてキャップ帽を抑えながら、タバコに火をつけ、深く肺に入れ、鉄柵にもたれると同時に一気に煙を吐き出した。
一服の功名か、乱れた息は落ち着いてきて、多少冷静を取り戻してきた。
冷静を取り戻してきたから、手は元の位置へ戻るのかと思っていたが、頑なに抑える手は戻らない。
どーいうことやねん!

すると下方の方で大きな爆発音が聞こえるとともに、下から物凄い勢いの爆風の後に大きな炎が舞い上がってきて、下から階段を順番に吹き飛ばしていった。
そのまま彼のいるところまで達し、彼のいる天板を爆風が吹き飛ばした。
その天板は僕が見ている位置まで一気に飛び込んできて、夢から目覚めた、というわけだ。
ここで確かに確認できたことがある。
顔を手で覆い隠した隙間から、飛び込んでくる人物を視認できた。
それは紛れもなく自分の顔であった。
一体僕は何をやっていたのだろう。
何を頑なにキャップ帽が落ちないように抑えていたのだろうか。
あの大きく膨れ上がった髪の毛とキャップ帽の中に何かが隠されているのか!?
もしかすると、僕のこれからを示す何かが…!?
まったく夢というのは、時に意味がわからないものを見せてくる。
一体何の暗示なのであろうか。

今日の作業用BGM

空気公団 / なんとなく今日の為に

 
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インターネットの世界の中でも日本。そして神戸の辺りでゆるやかな丘の上にある自然に囲まれたギャラリー。
誰でも自由に入ることができ、これまでbowがデザイン、描いてきたイラストを使った作品や、
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