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父さん四〇歳 詩人になる 五〇歳 写真家になる

写真集:父さん四〇歳 詩人になる 五〇歳 写真家になる 著:石川 厚志

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泣けちゃった。
気づいたら顔をくしゃくしゃにして、
鼻まで垂れていた。

親父とは頑固なものなのか。
いつまでも夢追い人なのかな。
自分のことだけ考えている生き物なのかな。
くだらない意地やプライド。
折れて笑ってれば、窮地に立たされることもなかったのに、
それが分かっていても、どうしても引けないものがある。
その影響を家族に与えてしまうことがあっても、引けないことがある。
難しいことも承知だけど、それでも守る自信がある。

なにも考えていないようで、誤解されるような行動をとってしまったり、
素直になれば良いのに。
心の中でずっと言っているのだ。
「愛している。」と。
言葉で伝えればいいのに。

目に映る姿はいつも家族の顔。
美味しいものをたくさん食べさせてあげたい。
楽しいところへたくさん連れていってあげたい。
格好いい服や、かわいい服。
欲しいもの。
なんだって叶えてあげたい。
そして、笑っているみんなの顔をただ黙って見ていたい。

でも、現実とは厳しいもの。
笑顔を作ってあげるどころか、上手くいかないこの状況に、
家族を巻き込んでしまう。

でも、みんなたくましくて。
美味しいものがそんなに食べらなくても、笑っていて。
楽しいところへ行けなくても、いつものところで、楽しくしていて。
欲しいものがえられなくても、持っているもので遊んでいて。
自分たちで生きている。

そんな姿を目で追っかけていると、なんともいえない気持ちになる。
ポジティブからネガティブまで。
感謝から懺悔まで。
カオス。

みんなの目線をのぞいてみると、特別なことはない。
いつものこと。
でも、今日という日のいつものことは特別。
きっと、そうだった。
同じ写真はひとつもない。

ひとりで写真をめくる。
ひとつひとつの表情が頭に焼き付いていく。

現実と夢の狭間で。
愛と現実の狭間で。
理想と現実の狭間で。

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