「工房」という言葉の響きが良い。
心地よい。
言葉から出てきたイメージというのは、間違いなく楽しい場所だ。
カンカン、トントンと金槌の音が部屋に響き渡る。
ちょきちょきとはさみが何かを切る音が聞こえる。
ガタガタと機械を使ってなにやら作業をやっている機械音。
サラサラと紙に何かを書いている音。
忙しく紙をめくる音。
古く傷んだ板の床を歩く音。
靴はきっとワークブーツだ。
工房の外観から数カット、入り口までの廊下を数カット、そこで働く人たちの机や道具を数カット、背景のサウンドはそれらの音の合唱。
なにかの物語作品がはじまっていくような。
婦人靴卸販売・コンフォートシューズ企画販売 神戸の長田にある株式会社モード・ナカムラ
とあるプロジェクトの際、靴を作っている工場に何度も見学させてもらった。
工場には、靴を作るための機械や工具がたくさんあって、説明を交えていろいろと見せてもらった。
この写真は工場を整理していたら出てきたらしい、創業当時に使われていたらしい靴づくりの道具。
年季の入った古びた箱に入った道具。
ここに写っている道具の多くはポンチだが、いくつか箱があってそこには当時使われていた道具が閉じ込められていた。
道具についた錆や傷が、味わい深く、当時の靴を作っている場面の映像が浮かんでくるようだった。
そんな道具に抱いたときめきをイラストに描いてみた。
靴作りに使われる素材
最も利用されてきた革素材の代表は供給量が多く、丈夫で美しい牛革(カウレザー)。
牛の年齢や性別によって質感や耐久性が変わるらしい。
なかでもよく革靴に使われているのは「ステア」という種類の革らしい。
Deci(デシ)
革の面積の単位で1deci 10cm×10cm
靴一足に革を約20deci必要といわれている。
工場の中で飛び交う業界用語が気になり、尋ねて聞いた浅はかな知識をひけらかしたところで、描いたイラストにいきます。
木型のイラスト
最近ではプラスチック製の靴型プララストというものが使われています。
ワニのイラスト
市切(イチキリ)のイラスト
金槌のイラスト
包丁のイラスト
はさみのイラスト
目打ちのイラスト
コンパスのイラスト
エプロンを着た白髪まじりの靴職人が、くつをあらゆる角度から難しそうに眺めている。
距離を置いて遠巻きに見て腕を組んで首を傾ける。
下から見上げるように見ている。
僕にはとても美しい靴に見えたが、彼には納得がいっていないらしい。
どん、と道具を雑に置いて外へ出て行った。
しばらくすると、職人は戻って着てまた靴を手に取り作業をはじめた。
これは僕の妄想ね。
そんな職人たちの思いが一足一足に詰まっていて、僕たちのもとへ届けられる。
僕たちの一日を軽快に、僕たちをいろんなところへ連れて行ってくれるのだ。
今日の作業用BGM
Plastic Plastic / With Me
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