公園にて。
一人の小さな女の子が僕の足元に突っ込んだらしく、少し後ろによろめいた。
尻もちつくほどの衝撃でなく良かった。
一瞬の隙をついて、はじめてのおつかいとでも洒落込んだのだろうか。
親御さんもすぐに気づいたようで、申し訳なさそうにこちらにかけてきている。
このよちよち歩きの彼女からしたら、大きな一歩で大きな世界へ一人で羽ばたいた瞬間。
なににぶつかったかはわからないが、上を見上げたら、変な金髪が立っている。
キラキラと光る円な瞳。
表情ひとつ変えず、こちらを凝視している。
その彼女の瞳に吸い込まれるように僕は腰をおろし、新しい世界へようこそ、とご挨拶。
それでも表情は変わらずに、手にぐっと強く握られた草を無言で僕の方に手をやる。
両の手をお椀のように器にして近づけたら、手から離された草がパラパラと無造作に盛り付けられる。
僕には美しい一輪の花にしか見えない。
お母さんと手をつなぎ、ヨチヨチとよいしょーとしながら、いっちょまえに元へ戻っていった。
僕は小さな彼女に心を奪われてしまい、その場を離れず後ろ姿を追う。
この二人の後姿も美しい。
我に返り彼女からもらった、この両の手の中にある一輪の花はどうしようか。
ポイとできるものではない。
このとっても嬉しいいただきものを。
この素敵な花にふさわしい場所に、そっと飾り付け、その場を離れた。
今日の作業用BGM
空気公団 / 僕にとって君は
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