正面は厳重な扉が設置されているがまわりは手薄だ。
そしてこれを乗り越える事は僕たちにとって容易いことだ。
フェンスにまたがり外の世界を見る。
とても平和だ。
空に浮く雲のように、ゆったりとした時間が流れている。
こっちに飛び込んでしまいたい気持ちはいっぱいだけれど、
何やら「いけないこと」って倫理観が働いてしまう。
いや、背中が怖いんだろう。
猛烈な勢いで走ってくる先生の足音が聞こえてくるな。
まずい!逃げろ!
とまあ、フェンスはいい遊び相手だったわけだが、
とある休日、誰とも約束がなかった僕は、
家の下でボールを蹴っていた。
Jリーグが流行っていたからね、
当時の流行の魅せられた僕はサッカー選手にもなりたかったわけだ。
みんなサッカークラブなるものに入って練習していたのだが、
僕は入ることができなかった。
だから上手くなるためにひたすらボールを蹴っていた時期があった。
フェンスは良いパートナーで蹴ったボールを受け止め、
自分の足元へ上手く返してくれる。
だから何本も蹴れたわけだ。
バンという音。
しっくりいく、納得のいく音が出るまで蹴ったものだ。
いろいろ考えながら練習しているとどこからか
「やかましい!」
と、どすの効いた声がこちらに響き渡った。
そちらの方向を見ると、木陰で輪になって不良座りをしていた
不良女が向かってきた。
今だから分かるが、あれはとてつもなくまずいものを持っていた。
輪になっていた彼らもまずいものをやっていた。
あんな姿をした人をはじめて見たのと、ものすごく剣幕になって
向かってきたので、急いで家にかけこみ逃げた。
当時、とても恐ろしかったのを記憶しているが、
彼女は悪いものをやっていたが良いこともした。
僕がやっていた練習は確かにうるさかった。
休日の静かな時間。
お昼寝の時間の赤ちゃんや、休日の疲れを癒す父さん、母さん。
その平和な時間を煩くしてしまっていた。
あの当時はそんなことも考えなかったが、
そういうものも気付かなければならなかったな。
もっとボールが蹴れる良い場所があるとなあ。
bow’s parkはそんな幼少期の思いを取り込んで
公園づくりをしているのです。