「準備はいいか??」
「ああ…」
「俺がまず中に入って様子を見る。合図したら中に入ってきてくれ。」
「人がいたら…??」
「縛ったらいい。最悪は…」
「…」
「しっ…!」
「なんだ??」
「聞いてみろよ…」
「…」
「懐かしいな…」
「だろ??やったか??」
「当たり前だろ、夢中になってやってた。」
「だよな!」
「なんでこんな時に…」
「なんか泣けてくるな…」
「何泣いてるんだよ…」
「俺はこんなことをやるために生きてきたわけじゃないんだ。」
「俺だってそうだよ!それでもやらなきゃ俺たちに明日はないんだぞ…!」
「あの時、俺たちが夢中になって闘っていたのは、今の俺たちみたいな悪党じゃなかったのか!?」
「何急に子どもみたいなことを言い出しやがる…!」
「今なら引き返すことができる。
この選択がこれからの運命を変えることになるぞ。」
「何当たり前のことを言ってんだ。どちらを選択しても地獄には変わらないんだ。少しでも楽になれるならそれを選んだ方がましだろ。」
「いや、あいつらだって何度も襲い掛かってくる地獄のような困難に折れそうになりながらも、立ち向かっていったはずだ…!」
「いてえな!放せっ!そりゃ、ゲームの中の話だろ!馬鹿になっちまったのか…!?」
「俺はふとしたときにこう思うんだ…
大なり小なり、何か世のためになるようなことを成し得たことがあるか??」
「そんなもんねえな…多くの人間はそんなこと考えて生きてはいないだろ…」
「そうだよな…俺はちっちゃな頃から恵まれない家で育ってさ、飯も碌に食えない家だった。逞しく生きてこれりゃあ良かったけど、人の顔ばかり気にして生きてきたからよ、空気だけはいっちょ前に読めて、流されて、ここまできた。」
「別に悪いことじゃない。生きてくためには必要なスキルだからな。」
「ああ、その通りだ。けれどな、本心はそうじゃなかったんだ。」
「…」
「本心とは違う道を選び続けてきたんだ。俺はいつも本心から逃げてきた結果が現在にあるんだと思うんだ。」
「もういい、そんな話を聞くためにここにやってきたんじゃねえ!
俺の明日がかかってんだ!」
「いや、やめよう、俺たちは変わるんだ。」
「放せ、俺一人で行く!」
「いいや!」
「お前をぼこぼこにしてでも行くと言ったら…??」
「それでも俺は全力でお前を止める。」
「…」
「ふー!やめだやめだ!
やる気が一気にそがれちまった!
帰るぞ!ちくしょう!
あーあ、お前のせいで今日のおまんま無くなっちまったぞ、どうしてくれんだ!」
「お前いくら持ってる??」
「あ??34円だ!」
「俺のと足したら、安い菓子パンくらい買えるぞ!
二人で分けて食べようぜ。」
「何の腹の足しにもならねえよ…!」
「はは、まあ、頑張って生きていこうぜ!きっと上手くいくさ!」
今日の作業用BGM