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思考的実験「線香花火」短編小説

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とても綺麗な夕空だが、どこか憂鬱な雰囲気を醸している地上。
突然に黒い雲に覆われたかかと思うとあっちの方では雷が鳴りだしている。
小雨が手をつんつんする、ああ、大粒になる前に帰った方が良いよ、ということね。
暗くなり辺りは静寂に包まれている夜。
人工的に放たれる煩い音がとても少なくなるし一番落ち着ける時間だ。
静寂な時間を過ごしているとき、大きな雷が近くで落ちた。
まるで空の怒りが爆発したよう。
久しぶりの大きな雷の迫力に少々恐怖を感じ額に薄っすらと汗が滲んだ。
日常とは淡々と過ぎていくもので、五感を刺激してくれるような出来事とはそうそう遭遇しないものだが、人はそれを欲する。
故にそれを満たせてくれるツールを欲しがるし、場所へ行くも、虚しくなってしまうのは何故か。
泣きたいからと言って泣ける映画を見るのは。
ハイになりたいからといってハイになるツールを使うのは。
どうでもよい情報や胸糞悪い作り話を見てしまうのは。
夏は何故ホラーなのか。
綺麗に整えられた五感御膳によって、このスイッチを押すと五感がどのように反応するのか試験をしている機械のようである。
つまらない、と感じるのはフラストレーションであって、楽しいことを見つけるのは与えらるばかりではなくて、自身で見つける必要があって、その先を潜るのは少々難関なのだ。
感覚や才能だけではどうしようもない領域であって、ようこそ地獄へと言ったところだろうか。
人は本能的に創造をする生き物なのだろう。
私とは創造故に誕生し、私とは…
その意味を考える生き物なのだろう。
それは絵を描くとか、彫刻するとか、造形するとか、開発するとかに限ったことではない。
私は何故ここにおり、何故生きているのか。
ご親切にご丁寧に敷かれたあらゆるレールが嫌で自分が歩みたいように歩もうと思うのは何故か。
広場で子ども達が花火を楽しんでいる。
線香花火、久しぶりにやりてーなあ、なんて思っていたら、小さなこともが花火の見える方へ走っていきすれ違った。
線香花火の音が僅かに耳に聞こえた。
楽しい音だ、それが嬉しい。
火花が散って消えていく。
うたかたの日々よ。

 

線香花火 イラスト

今日の作業用BGM

うたかた花火 / supercell

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