ボウさんは今日もお散歩。
橋を渡っていたところ、下に川が流れていたので眺めていました。
そういえば、そろそろお昼時。
せっかくなので、川のほとりで昼食をとることにしました。
ぱしゃ!
冷たくて気持ち良い。
透き通るような綺麗な水の中、気持ちよさそうに泳ぐ魚たちがきらきらと光ります。
リュックを下ろして座り、しばらく川の音を聞きながら癒されていました。
そうしているとばしゃばしゃと川の方で音が聞こえそちらを見ると…
ボウさんは「あっ!河童さん!?」と言いました。
すると河童さんは「せやで!」と言いました。
「自分若いのによう知ってんな。」と続けていました。
「本で見たことがあって知っていたんだけれど、ほんとにいたんだね!」
「本に載ってるて、まだわし有名人やなあ。しかし、自分、わしの姿見て怖ないん??」
「河童さんはすごい有名だよ!怖い??なんで??とてもかわいいと思うよ。」
「かわいい??なんかあげれるもん持ってきてへんかな…」
と河童さんは自分のぽっけの中に何かないか探しています。
「あっ、そうだ!」
とボウさんは思い出したように言いました。
「まさか河童さんに出会うとは思っていなかったからきゅうりを持ってきていないや…。」
「かまへんかまへん、気遣わしてごめんやで、若いのにその気遣いに感謝やで。
ほんでな、正直、わし、きゅうりあきてきてんねん。ここだけの話やで。
いや、ありがたいねんで、きゅうりは美味い、でも毎日毎日食べてると違うもん食べたい時もあるやんか。」
「じゃあ河童さん、これからお昼ご飯を食べようと思っていたとこだったんだけれど、おにぎり一緒に食べない??」
「おにぎりか!?ええやんええやん!大好物やで!あれ美味いよなあ!」
河童さんはおにぎりに大喜び!
何やら独特な舞いを見せてボウさんからおにぎりを受け取りました。
おにぎりを食べながらボウさんは河童さんといろんなお話をしました。
「河童さんて年はいくつなの??」
とボウさんは尋ねました。
「わしか??いくつに見える??」
「う~ん…想像もつかないなあ…見た目が若いし、でも話し方がおじさんだよね??」
「はっはっはっは!見た目が若いおっさんか!おもろいやん!でも、わしもどれだけ生きてるんかわからへんねんな。わし数字が苦手やねん。手で数えられへんし。ただ古い古い時代から生きてるで。
せやからこの街のいろーんなこと見てきたで。楽しいことも、もちろん悲しいこともなあ。
せやからわしはこの街に愛着があって長いことここにいる。
ここで生きるもんがみんな幸せに生きてくれることをずーっと願ってきたんや。
たまにはいたずらしてしまう時もあるんやけどな。」
「河童さんは長い間この街を見守ってくれていたんだね、ありがとうね。」
「いやいや、こちらこそ、住み心地の良い環境を作ってくれてこちらこそ感謝やで。
宴もたけなわやけど、わしはそろそろいかな。」
と言って、頭のお皿をぽんぽんと叩きました。
ボウさんは知っていたので、
「あ、そうだったね。」
と言いました。
「ボウちゃん、楽しかったで、ほんならな。
そや!ボウちゃん、これあげるわ!」
と言って河童の小さなお皿のようなものをボウさんに渡しました。
「それな、わしのちっちゃい時のお皿や、バッジにでもして使ってな。ボウちゃんが河童の話をするとわしの寿命もまた伸びるでな。呼ばれなくなった時はわしの役割は終わりの時や。」
「また会えるかな??」
「そやな、また会う時があるかもしれへんな、そん時はまたいろいろ聞かせてな。ほんなら達者でな。」
河童さんはそう言って川の深い所へ行って見えなくなりました。
河童さんが後姿を見せた時、ボウさんは密かに「甲羅をしょっているんだ。」と思ったのでした。
今日の作業用BGM