gio interior works(ジオインテリアワークス)が主催する「クリエイティ部」の隊長を務めるMOMOちゃんが東京へ転勤することなり、これまでのように会の参加が難しくなり、会えなくなるとのお知らせを受けた。
大西監督とのお仕事の打ち合わせは早々に切り上げ、クリエイティ部を明るく、楽しく盛り上げてきたMOMO体調の「お別れ会」を開催することと、どういった形で送りだそうか、という話になった。
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開催日までそう時間はなかったのと、少々仕事がばたついており塾考しているいとまがなかった。
ふと頭に思い浮かんだのが「あっぱれさんま大先生」の卒業式で、これまでのクリエイティ部の思い出を語らないながら、最後にBGMに記念樹を流しながら、卒業証書授与を杉谷校長に行ってもらう…かなあ。
「卒業証書が請求書だったら…」と悪戯心が湧いてきた。
送別会でかかった費用を卒業証書のていで請求書として授与する。
しかも現実的な金額で。
こうなってくると、こんな悪戯も良いのではないか、あんな悪戯も…と溢れんばかりにアイデアが飛び出てくる。
隊長はしんみりと別れを惜しみながら送り出す、というよりは、明るく元気に笑顔で送り出したい、という悪戯オンパレードを遂行するがためのこじつけのようなコンセプトをたてる。
悪巧みをしている表情というのは共通しているのか、みな同じ顔をしている。
片方の口角が急角度で釣り上がり、悪そうな笑みを浮かべている。
今回参加するメンバーは10人くらい。
横一列に並べてみると大変面白い光景が出来上がる。
揃いも揃って片方の口角を釣り上げた大の大人達が横一列に整列しているのだ。
なんとも滑稽な光景である。
こんなときコンセプト作り、というのは重要な工程の一つである、と思えるのである。
それを軸にして達成するために動き回るのだ。
まるで合図のように。
準備を行なっている最中、それぞれ動いているのだが、表情を伺うと、やはり片側の口角が釣り上がっており、悪巧みを行う子どものような目をしながら、動いているのだ。
一心同体。
普段組織に属し、活動しているわけではないが、こういった時、組織の強みというのはこういう時なのであろうと思う。
当日。
クリエイティ部の参加は僕は大変久しぶりで一発目の悪戯を行う土壌は出来ていた。
大西監督におもむろに渡された「血糊」をJIROさんに顔面一面に塗りたくられ、結っている髪をほどき、杉谷工房隣にあるJIRO工房に身を潜めた。
MOMOちゃんが到着した時に談笑をしながら、大西監督がその様子を写真におさめる。
それを確認していたら心霊写真が撮れた、という怖い悪戯。
その後に登場をする流れだ。
リハーサルでは上手くいき、心霊写真もそこそこぞっとできる出来栄え。
その他の準備もほぼ完了し、隊長到着までまったりとした時間を過ごしていた。
血まみれの顔で。。。
それはそれで恐ろしいのだが、もっと恐ろしいのは、周りの皆はもうそういう人だと思って接していることに鳥肌が立ちそうであった。
そうしていると、大西監督と悪姉兄弟の長女が買い物とMOMO隊長が最寄りの駅に着く、ということでお迎えに行った。
僕が隠れるタイミングは隊長からの電話が合図であった。
隊長が到着まで久々の面々としばし談笑をしていた。
何度も言うが血まみれの顔である。
話が盛り上がってくると正直自分も血まみれであることはすっかり忘れいた。
どれくらいの時間が経ったか忘れたが、工場の入り口の扉が開く音がした。
皆そちらへ顔を向けた。
奥には長女の姉さんが、手前にはなんと今回の主役である隊長がこちらに向かって歩いてきていた。
その瞬間に顔に塗りたくられた血糊を感じたと共に、ムンクの叫びのように、僕の口と目が大きく開いていくのを感じた。
当然MOMO隊長は僕の表情を見るなり、「どうしたんですか!?」と驚きと心配の声を上げるわけだが、咄嗟の出来事に言葉が見当たらず「…失敗した!」と応答した。
当然MOMO隊長からすると「??」の反応であって、どうするか、と悩んだ末、まだ工房に入っていない仕掛け人の監督にターゲットを変えるという、なんとも訳の分からない方向へ行く。
当然監督はこのオチを知っているわけであるし、ターゲットを変えて終えたところで、まったく意味が分からない。
隣の工房では、事前に打ち合わせしていた通りの物語が繰り広げられている。
全く意味がわからない状況に大変可笑しく、隊長は知らないふりをしている。
さすが今回の主役といったところか。
名俳優の演技で、一連の流れを終えたところ、登場するわけですが「失敗しました!」というオチになる。
とまあ、会の始まりにふさわしい笑いが起きて結果的に良かった(笑
さて、クリエイティ部の集いの歴史を振り返ってみると二年の月日が流れたようである。
参加する人たちも増えながら、続いているというのはすごいことだな、と思う。
MOMO隊長は持ち前の明るさ、元気さ、メンバーに愛されていたキャラクター。歴史作りの大きな役割を担っていた人物だ。
会のフィナーレは刻々と近づいていた。
合間には悪戯をいくつも仕掛けていたが、ほぼ失敗に終わり本来欲しかった反応が得られなかったものの、笑いを作っていた。
後半は悪戯のクオリティが低い、というのか、雑、というのか、悪戯であるのに、悪戯しますからこっちおいで、というなんのこっちゃ分からない仕掛け方で、分かっていながらMOMOちゃんも「なんですか?」と仕掛け人の方に寄っていき、まんまと悪戯にかかる??いやかかってくれるわけだが(なんともいい子である)、特に大きな物音がなるわけでもなく、ふっと冷たい風が手と手の間を吹き抜け、しばし無言になった後に大きな笑い声が起こる、そんな感じだ。
今回のコンセプトは明るく、元気に、笑顔に、MOMOちゃんっぽい形で送りだそう、であるわけだが、終わりに近くにつれて、皆閉じ込めておいた寂しさ、が少しずつ溢れて出、それぞれの表情にあらわれてきていたように感じた。
片側の口角はいつしか、落ち着きを取り戻し、悪巧みの表情は非常に穏やかになっていたように思う。
時計を見てみると、すでに遅い時間になっていた。
お開きの時間である。
メンバーそれぞれからMOMO隊長へのプレゼントを贈答。
JIROさんへチェックの合図を送る。
その合図を確認するとぴっと背筋を立て、姿勢を正し、彼はどこかへ消えて行った。
そして片手にクリッポボードを手にし、MOMO隊長の座席の横につき、ウェイターのように中腰になりクリッポボードを開いた。
そこには今回の会でかかった費用に、サービス料だの、なんとか料金だのが事細かに書かれた伝票であり、合計金額は80,000円を越えていた。
先ほど満面の笑顔だった隊長の表情はみるみるうちに強張った。
仕掛け人であるメンバーも笑いを堪えながら、静かにその様子を見守った。
追い討ちをかけるようにJIROさんが
「お支払いは?」と尋ねる。
ウェイターと隊長の目が合った。
更に「現金で??カードで??paypayでも承ります。」などという。
この静かな緊張感に耐えらずれに、皆が吹き出してしまう。
ということで、杉谷校長が今回の趣旨と、新たな旅立ちをする隊長への応援の言葉。
さらには校長から贈り物があるらしい。
両手には大事そうに筒のようなものが持たれてある。
その筒から丸まった紙が取り出された。
紙質から推察するにあれはきっと卒業証書である。
それを平げ、授与式のようなていで渡そうとする。
やはり隊長は空気を読み、両手を広げ受け取った。
その内容を見るや否や隊長は紙を放り投げた。
そこに書かれてあるのは、卒業証書ではなく、またもや請求書であり、金額が記されているのであった。
いやいや、本当に久しぶりに腹を抱えて笑いました。
あー、面白かった。
ここまでの悪戯は失敗に終わり続けたのですが、最後は完璧に決まりましたね。
大きな笑いで締めることが出来て良かったと思います。
高額な請求書を二度も渡しておいてなんなんですが、お金では買えない仲間たちの時間…プライスレス。
寂しくなりますが、東京の方でも明るく、元気に、笑顔で活躍してくれたらな、と。
クリエイティ部の東京版を作ってもらったらな、と。
悪戯が欲しくなると、そんな遠い距離でもないので、いつでも会いにきてくれたらな、と一同新しい悪戯をご用意していつでもお待ちしております。
おたっしゃで。
さて、この血糊であるが、なかなか頑固で完全に取りきれぬままに電車を乗り帰路に着いたことは言うまでもない。家の近くに咲く桃の花が春を知らせてくれる。
風に煽られ、空に向かって舞っている桃の花を見て、またね、と僕も新しい一日を歩み始めるのであった。
今日の作業用BGM
Home Alone Soundtrack / Setting The