急に片付けなんかはじめちゃって、昔の荷物の箱の中から独楽が出てきた。
そんなん仕舞ってたっけ??懐かしく思って久しぶりに回してみた。
よく回る。丁寧にゆっくりと、綺麗な弧を描きながらぐるぐると回っている。
お手本を見せてくれたように、同じようにやってみるが、そう簡単には回ってくれない。
あっちやこっちやいきながら、経験を重ねることで、こつを掴みだす。
手に馴染んだ感覚はより理論的になり何故回るのか、どのようにやれば回るのかが解ってくる。
上手く回すことができなかった時分のその自分は次第に失われ、しかし、それを知った自分が新たな軌跡を描き出す。
傾き止まった独楽を再び回す。
あの時の軌跡はもう描くことはできない。
ただ新しい軌跡がはじまっていく。