さっきまでは晴れていたのに、激しい雨が降り出し、大きな落雷が場内に鳴り響く。
恐怖にあらゆる感覚がくっついて、一言では表しようのないカオスな状況だ。
こういう時とは、望んでいる光景を見せてはくれず、よりひどい状況に陥れられる。
ある部屋に迷い込んだ。
落雷の光にでシルエットが映し出される。
大きな机と大きな椅子。
椅子には何やら人が座っているようで、ワイングラスのようなものを持っている。
この城にある噂では、迷い込んだものを助けてくれる人がいるという。
僕たちは恐る恐る、僅かな期待と希望を胸にそのシルエットに近付く。
落雷に照らされたグラスの中で赤いワインがふわふわと踊っている。
それが不気味である。
声をかけようと近づくとそのシルエットは振り返った。
ドラキュラが現れた…!
栄枯盛衰。
良き時代とは、良い日々とは、ものの巡りが上手く嚙み合い、そこに住まう人々が豊かになることである。
しかし、同時に蝕む何かがあることも事実である。
気付いたときには既に時遅し。
取り返しのつかないことになってしまう。
ここの主は、街を守るために、何か良くないものに手を出してしまったのだろうか。