「僕らも、きっと、忘れられていくのだろうな。」
風がそよいだように、耳に入ってきた言葉に気の利いた言葉を返すことができず、
ただ同じ方を見ていた。
そして、僕たちは静かにその場所を後にした。
かつてあった場所はなくなってしまうことがある。
僕たちは確かにあの場所を知っていて、
あの場所で過ごしたことがあった。
そんな幻影のようなものが見える。
その場所に行くこともできず、
触れることもできない。
しかし、ふわりと香りがする時がある。
きっとその時と違った香りなんだが、
あの場所の香りなんだ。
なくなってしまったが、確かに存在する。
僕の中に。
その思い出を胸に、僕たちは歩いていくのだ。

ショートアニメ 傷跡
忘れられていく場所、触れられない記憶。
それでも、香りのようにふと蘇る痕がある。
傷跡のように、静かに、確かに。
僕たちはその痕を胸に、歩いていく。












