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あたしとあなた 谷川俊太郎

書籍:あたしとあなた 著:谷川俊太郎

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柔らかな体で自分と同じくらいの大きい本を、
読んでいる子どもの後ろ姿がなんとも
愛おしい光景だ。

まだ書かれてある文字を解読できないが、
読み聞かせてもらったように、読み聞かせてもらった筋や
ニュアンス、アクセントを見事に完コピしている。
彼らは一体これをなにだと思ってやっているのか。
文字もひとつのビジュアルなのか、文字は文字だという
認識があるのか。

そういった光景を見る度に、彼らになって、
彼らの実体験を体感してみたいものだ、と感じる。
概念などはなくて、感じているのだ。

詩というのは、シンプルな言葉で組み合わせられて
綴られているものの、非常に難解な問いを投げかけられる。
何を伝えたいのか、何を言いたいのかかが、
まったくもって、分からないことがある。

詩の中で出てくる言葉のキーワードを拾い上げ、
分かろうと分析する。
メタファーは一体何なのだと難しい顔をして探る。
でも、この探る、分析するという感覚では、
この詩の意味を理解することはきっとできないのだ。

こんなことがあった。
生きるという壮大なテーマの中で、
生きることを妨げる悩みがあった。
その悩みの種が一日を不快に、不安にし、
一日、一日が苦しいことがあった。
そんな話を聞いたある人が、いくつかのものを置いた。

僕には全く意味が分からず、それでいて今欲しい答えは、
それではなかった。
その当時、いくつかの違和感を感じたことを覚えている。
そういったネガティブな心境が過ぎ去り、そんなことも忘れ、
生きていたときに、いくつか置かれたものがヒントだったことに気づく。

ああー、なるほど、こういうことだったのか。
その当時は、なんとも髪を振り乱し、意味もなく消費していたあらゆるものが、
なんだったのか、と思うくらいに、あっけないほどにストンと落ちる瞬間があった。
クスクスと自分を笑ってしまった。

呼吸をするように入ってくるもの。
自然を感じるもように。
そういうものなのかな。

あたしとあなた 著:谷川俊太郎

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