スルメイカが美味しい。
酒もさほど飲めないというのに、酒を片手に持たず、肴みたいなものをただただつまんでいる。
この甘酸っぱさって、酒に合うの？？なんて疑問。
ちっちゃな頃から好きだった。
長めに噛んでいられるから、空腹感を満たすことができる。
魚介類はつい最近まで苦手だった。
最近は嘘だったかのように、刺身を食べる。
これが美味しい。
長年食べてこなかったから、食べ慣れていないし、知りもしないのに、新鮮だ、などという。
「これがええねん」的なこと、言ってみたいじゃん。
大人の世界に足を踏み入れた感。
魚介類がダメだったのに、スルメイカはいけた。
味好みのちっちゃなお魚もいけた。
たこやき。
これは難易度の高い「蛸」が入っておる。
でもこれもいけた。
なんやったら、蛸抜きは美味しくないと思っていた。
なんやったら、まれにあった蛸が入っていないはずれのときは「なんでやねん」と怒っていた。
カニカマ、鮭も鮭フレークも好きだった。
いつからか、僕は魚介類アレルギーです、と思うようになっていた。
今思い返すと、トラウマになった決定的な記憶がないのだが、そう思い込んだ自分は、トラウマになった記憶を小さく作り込んであったかのように思い込んでいた。
いっときの嘘ではなく、墓まで持ち込む勢いの自分に対する嘘である。
魚を食べてもまったくアレルギー反応による症状はあらわれない。
思い込みの力というのはすごいものだ、とクスクスしながら思い出す。
きっとこれまでカチカチに固めてきたものが柔らかくなってきたように思う。
お魚が食べれるようになった。
